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単一光子と量子もつれ光子: 量子光学と量子光技術の基礎

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献本いただきました。

本書は量子情報では不可欠な単一光子状態と量子もつれの基礎を理解するための本です。

社員当時、著者と編集委員会と議論を重ねたのが懐かしいですね。後任者がしっかりと仕上げてくれていい本になりました。まえがきの謝辞で僕の名前も出していただきうれしい限りです。できれば最後まで担当したかったのがちょっと残念です。

18巻の量子アニーリングの基礎と合わせて読んでいただけると、量子コンピュータの理解がぐっと深まるはずです!

量子力学は、現代社会では切っても切れない重要な概念です。ただ、きちんと理解するのはなかなか大変です。本書では、電磁気学の基礎から説明が始まり、光の量子化へと丁寧に説明されています。後半では、量子もつれ(エンタングルメント)についても述べられています。これは、量子暗号技術や量子テレポーテーションで重要な概念となります。

これらの概念の基礎が十分学べます。また実際の実験結果についても触れられており、最先端の物理現象を学ぶ入門書としてはぴったりです。

ただし、これらを本当の意味で理解するにはやはり専門書で深く学び、手と頭を動かす必要があるのは言うまでもありません。。。

 

量子アニーリングの基礎

後任者から献本いただきました!

執筆依頼から4年近くかもしれないですが、ようやく本書が出ます!

本書は最近よく耳にしている量子コンピュータの基礎原理である、量子アニーリングについてをちょっと詳しく説明している(はず)です。

まだ届いたばかりなので、ワクワクしています。

これは売れると思います!

ぜひご覧下さい!

西森秀稔大関真之 著

須藤彰三・岡真 監修

2018年5月初版1刷発行

https://amzn.to/2InY7MC

振動と波動 ―身近な普遍的現象を理解するために―

この本はあまり有名ではないですし、演習書ですが、間違いなく隠れた名著といってもよいです!物理、工学などさまざまなところで振動・波動の知識が使われていますが、なかなかとっつきにくいところも多いと思います。

本書では、力学から始まり、電磁気学流体力学、弾性力学など、さまざまなところで振動・波動の概念が丁寧に解説されています。まず、例題で物理的概念を習得し、演習問題で理解を確認すればばっちりです!相対論でも使う概念ですので、理工系の読者は本書をぜひご覧いただきたいです!

田中秀数 著

須藤彰三・岡真 監修

2014年5月初版1刷発行

https://amzn.to/2wiCvf3

クォーク・グルーオン・プラズマの物理 ―実験室で再現する宇宙の始まり―

この本は、もともと専攻していた分野に近く、秋葉氏とも楽しく議論させていただきながら編集した本です。

本書で述べているクォーク・グルーオン・プラズマ(Quark Gruon Plasma:QGP)の世界は通常の世界では考えられないくらいの超高温の世界で、本書でも述べられていますが、とっても熱いスープのようなどろどろとしたものです。それは宇宙のはじまりに何が起きていたかを見せてくれるものと期待されています。

まず、僕らの体も含めた身の周りを構成する物質は分子、原子、原子核、素粒子(クォーク)と構成する単位が段々と小さくなっていくのですが、なかなか想像ができない世界になっていきます。原子は原子核と電子からなり、原子核は陽子と中性子、陽子や中性子は3つの素粒子とそれらをつなげると考えられているグルーオンからなっていると考えらています。ここでグルーオンは「にかわ」という意味ですが、いわばクォーク同士をつなげるのりのようなイメージとしてとらえられています。さらに、クォークは単体では見ることができませんし、グルーオンも同じです。

現在では分子、原子の世界はようやく顕微鏡でみることができるようになりましたが、それより小さい世界は、なかなか見ることがまだ難しいのです。そこで顕微鏡の代わりに、加速器を使います。これが顕微鏡として宇宙の姿を見せてくれると多くの研究者が加速器実験、それから得られるデータを用いた理論解析を行っています。最近では、LHCのヒッグス粒子が有名になりました。

本書では、稀代の実験家でもある第1線の著者が、物理的な基礎から丁寧に紐解きながら、QGPの世界を紹介しています。現時点では、加速器以外ではその世界を再現することができません。宇宙と物質の最小単位である素粒子の世界を実験室で再現しようとする著者らの研究の一端をぜひ体感してください!

秋葉康之 著

須藤彰三・岡真 監修

2014年4月初版1刷発行

https://amzn.to/2HRVvGC

ジュンク堂書店さんと企画した秋葉氏のトークセッションもぜひ!

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量子統計力学 ―マクロな現象を量子力学から理解するために―

量子統計力学は量子的な世界を記述できるミクロと古典的な世界で記述できるマクロの世界をつなぐ「架け橋」ですが、挫折する学生も多いかもしれません。本当に難しいと感じる熱力学もそうですが。。。そんな量子統計力学は物理学のみならず、化学、生物、工学と現代ではその習得が必須となっています。

もちろん、学生時代はずいぶんと僕も苦しめられました、笑。こんな本があったらよかったのにと強く感じます。

本書は、難しいからと挫折しないために、古典統計力学の復習から、フェルミ粒子系・ボーズ粒子系の性質、格子振動・電磁場の統計力学、相互作用のある系の統計力学まで、基礎的事項の理解と簡単な応用問題の解法を身に付けることができるように著者が苦心して執筆されてます。自ら手を動かして習得し、物理的なイメージが最終的にはつくようになっています。

一度学んだけどつまづいた方や量子統計に興味がある初学者向けの本です。後半は物理よりすぎるので、難しいと感じるかもしれませんが、本書を学べば一通り理解できます!

石原純夫泉田渉 著

岡真・須藤彰三 監修

2014年4月初版1刷発行

https://amzn.to/2JMpGLE

マルチフェロイクス ―物質中の電磁気学の新展開―

マルチフェロイクスという用語を本書で知りました。シリーズ1巻と並行して進めていたので、つながりもありつつ、楽しく編集できました。物性の世界はこんなにも広いのだと実感した本でもあります。

マルチフェロイクスは新しい物質で、マルチという言葉が表すように、1つの物質がい磁気秩序と強誘電秩序という性質を持ち合わせています。それはいままでは別々に考えていた、磁気と電気をつなぎ合わせるものでした。発見は1960年代ですが、比較的最近2006年になって、十倉氏によって発見されました。この物質がおもしろいのは、方向二色性です。著者も物理かふぇで述べてましたが、ドラえもんの透明マントが実現できるかもしれないと注目されています、笑。本書は電磁気学の可能性を再発見できたことを丁寧に解説しています。身の回りの生活に便利な製品に応用できる新たな物質がこれからどんどん発見されると思います。ぜひご覧ください。

 

有馬孝尚 著

須藤彰三・岡真 監修

2014年2月初版1刷発行

https://amzn.to/2JX4qDf

スピン流とトポロジカル絶縁体 ―量子物性とスピントロニクスの発展―

スピンって何でしょう?というのが本書の始まりです。

構想から3年でようやく出版したシリーズです。編集委員のお二人とかなりの時間をかけて議論を重ねた結果がでて、すごくうれしかったのを覚えています。このシリーズは、フロー式物理演習シリーズの姉妹書として企画がスタートしましたが、以前のシリーズ「物理学最前線」の現代版です。3テーマ1冊を1テーマ1冊として、現時点での最前線を読者が外観をつかみながら、物理の基本法則を軸に丁寧に解説しているのが特徴です。

本書のスピン流、トポロジカル絶縁体はノーベル賞を受賞したことで有名になりましたが、新しい物質として注目を浴びており非常に興味深い内容となっています。著者の齊藤氏は実験の立場からスピン流について紹介し、村上氏は理論の立場からトポロジカル絶縁体を紹介しています。バランスもとれており、物性物理、工学的な応用を目指す方には必携の入門書になっています。半導体や、次世代メモリにも関連していますので、ぜひご覧いただきたいです。

韓国語版も出版され、この分野はこれからもますます盛り上がっていくことでしょう。

齊藤英治・村上修一 著

岡真・須藤彰三 監修

2014年2月初版1刷発行

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 物理かふぇの様子もぜひご覧ください。

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素粒子物理学

こちらははじめて企画した本でした。井上さんとの出会いは院生時代でした。久しぶりに物理学会に出張で行き、先輩、後輩たちとの再会から本書の構想が始まりました。井上さんのすごさを体感していたので、どうしても出したくて企画しました。本書はシンプルにということに重きを置きました。あえて、カバーデザインにはPP加工はせず、汚れやすいのが欠点ではありますが、あえて手触りと質感を感じてもらいたくて和紙を用いてます。デザインも書名と著者名のみとしました。表紙も銀の箔押しのみ。見返しも和紙を使っています。

内容は場の理論を用いず、標準理論への道程を学ぶ、素粒子物理学の入門書です。終始一貫して、本質を突くことを念頭に現代物理学の1つの到達点である標準理論へと説明が続きます。内容も量子論、相対論をやったことがある学生であれば読み進められますし、この本を読みながらそれらの理解も深めることができます。ただし、本当に研究する際には、本書で物理的な本質をつかみ、場の理論の教科書を読むことは必須です。

まえがき、あとがきも秀逸です。研究だけではなく人生そのものの一つの考え方として大いに感銘を受けることでしょう。

素粒子物理に興味のある方にお勧めの1冊です。

井上研三 著

2011年10月初版1刷発行

https://amzn.to/2EWYxCU

最終講義「自然に近づきたい」は下記でご覧いただけます。

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素粒子・原子核物理学の基礎 -実験から統一理論まで-

この本は、ちょうど東日本大震災があった2月に出版する予定でした。訳者が東北大であることと、洋紙の調達がうまくいかないことから5月になりました。訳者全員が被災して大変な中、本書を届けたいという思いが強く、調整に奔走しながらも5月にとなりました。感慨深い本です。

本書は、物理学科の学生向けの入門書です。現在でも素粒子、原子核というと「難しい」という声は少なくありません。本書はそれらの分野を俯瞰してみるのに最適な入門書です。原著者の二人が素粒子理論、実験の大家であり、2つの視点から素粒子、原子核の世界を観ることができます。そこで知らない知識などを知ることができます。これらの分野を目指す学生や素粒子、原子核という名前は知ってるけど何だろうというほかの分野の方には最適な入り口となります!

訳者はKamLANDの方々でニュートリノ観測で世界に名を残している第1線の研究者です。

A.DasT.Ferbel 著

末包文彦白井淳平・湯田春雄 訳

2011年5月初版1刷発行

https://amzn.to/2qGcd13

宇宙の大規模構造

空を見上げると、満天の星という表現がぴったりなくらい、降るような星の瞬きを見ることができます。そんな空一面を覆いつくす星の数を見ると、どの方角を向いてもあるので、まんべんなく星が散らばっているように思えます。

そんな宇宙はスカスカというと驚くでしょうか?

スカスカというと、物質を形作る原子、原子核、素粒子の世界もスカスカです。見るスケールによっては詰まっているように見えるのですが、実際はそうではありません。ただ、この宇宙のスカスカはそれらとは形がだいぶ違います。

現時点での観測によってわかっている宇宙の姿は、星や星が集まった銀河、銀河が集まった銀河団などがある部分とない部分とがあって、その姿はまるでスポンジのようになっています。

この宇宙の大規模構造について、今日の日経新聞で松原さんの記事が紹介されていました。何故宇宙がそのような構造になっているのかについて、観測、理論の両方からさかんに研究されています。いまの宇宙の姿が理解できたら、どうやって我々の宇宙が生まれたのかがわかるようになります。観測によってある程度は形はわかりましたので、あとは、理論的に説明できたら宇宙の謎に一歩近づけたことになるので楽しみですね。

ちなみに、はじめてこの大規模構造の3次元マップを見たときに、スポンジというよりシナプス機構のようだなという印象を受けました。SF的に考えると脳の構造と関連性がありそうですが、もちろん妄想なのでまったく科学的な根拠はありません、笑。

今後も望遠鏡を用いたスローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)による全天観測と同時に、松原さんのような理論家の研究によってその成り立ちがわかる日がくるかもしれません!

関連して、以前ジュンク堂さんにご協力いただいた「物理かふぇ」というトークイベントでも松原さんに大規模構造の簡単な紹介と、研究者とはどういう生活をしているのか、何に興味があって研究者を目指したのかということをテーマにトークいただきましたので、よろしければぜひごらんください!

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松原さんの本をおすすめします。

    

まずはこの2冊から初めて、専門的な入門書は下記がおすすめです。